2019年8月3日土曜日

漆の象嵌

木の表面に漆を象嵌のように埋め込み、柄を描くような手法を考え出したのは、今から5年前になります。
それまでも、顔料と膠を混ぜたものを木に埋め込み、柄を描いたりしていたのですが、木工旋盤で器をつくり始めたころで、柄が描かれた絵皿を、どうにかして食器として使えるようにできないかと考え、漆を使って描くことを思いつきました。
漆というのは、数ある木工塗料の中でも特殊で、中に入っているウルシオールという成分が、水分と反応して乾いていくものです。漆は、木への浸透がよく、一度乾くと、とても固く、季節によって乾き方も違い、漆が皮膚に付着するととたんにかぶれてしまう、なかなか取扱いが難しい塗料です。
はじめは慣れずに思うように描くことができなかったのですが、いろいろ失敗を重ね、漆ならではの魅力に少しずつ気付き、だんだんと描くのが楽しくなっていきました。
自分で編み出したものなので、今でも新しい手法を模索しつつ描いています。

木工は、工芸というジャンルに於いて、塗料然り、技術的にも表現の幅がまだまだあるような気がしてなりません。
漆に限らず、木のテクスチャみたいなものに良い作用があるような材料、つくり方をこれからも探求していけたらと思っています。

この漆で描くお皿をつくるのを思いついたきっかけが、千葉で行われる野外展示会の「工房からの風」。5年前の10月に初めて参加させてもらい、打ち合わせの際、絵皿を食器で使えるようにしてみたら?と提案をしてもらい、いろいろここから発展していきました。
また今年の10月にもお世話になる予定です。
http://www.kouboukaranokaze.jp/

秋に向けていろいろ制作中。
また新しいものが出来上がってきたら、こちらでお知らせいたします。